農業高校を舞台に、農業に青春をかける農業高校生たちの日常を描いたライトノベルです。アニメ化もされており、作品のジャンルは「農業系学園ラブコメディー」を謳っています。内容はギャグが中心となっていて、その殆どがパロディや下ネタで構成されています。「ViVA!Kappe ビバ!カッペ」が若者の農業を描いた作品である一方、この作品に関してはどちらかと言うと農業要素を含めたギャグ作品の印象が強くなっています。しかしその一方で、現代日本の農業の問題点時々取り上げるなど若干真面目な事柄なども取り上げています。 「みんなで選ぶベストラノベ2011」コメディ部門第1位を受賞し、その後第一回ラノベ好き書店員大賞においても1位受賞しました。その後コミカライズやアニメ化などを経て一定の人気を誇る作品にまでたどり着きました。
あらすじ
岐阜県立田茂農林高等学校、通称「のうりん」の生産科学科2年A組栽培専攻に所属する畑耕作は、アイドルの草壁ゆかに熱を上げるちょっぴりアイドルオタクな少年です。同じく2年A組の栽培専攻に所属する世話焼き幼馴染・中沢農、頼れる親友の眼鏡美少年・過真鳥継、同じく2年A組だが畜産専攻の巨乳少女・良田胡蝶らと同じく、明日の日本農業を担うべく騒々しい高校生活を送っていました。そんなある時、「超人気アイドル草壁ゆか、電撃引退!」の報に衝撃を受け、耕作は寮の自室に引きこもってしまいます。同じく寮生の農と継に引かれて教室まで来ると、担任のアラフォー独身女教師・戸次菜摘が転校生を連れてきます。その転校生は、ゆかにそっくりな美少女・木下林檎だったのでした。
登場人物
畑 耕作(はた こうさく)
主人公。名古屋市生まれ、岐阜県立田茂農林高等学校生産科学科2年A組栽培専攻。ひなびた農村である愛生村から同校へ進学し、校内に併設されている学生寮「青田寮」に住みながら学級委員と寮長を兼務しています。アイドルオタクで、アイドルの草壁ゆかに熱を上げるあまり、自室をグッズ(市販だけでなく自作も含む)だらけにするほど熱中していた(ただし、林檎の転入後にはグッズの大半が処分された)が、林檎の芸能界引退→転入で幼馴染の農を含めた三角関係に立たされます。農が妊娠したと誤解したことから故郷の村おこしイベントの一環として結納まで行う破目になったり、ベッキーの父親と意気投合したことからお見合いさせられて寮へ押し掛けられる等、女の人関係では散々な目に遭っています。足裏フェチや脇フェチでもあって、その類のコレクションはあまり売られていないため、自分で記録・保存しています。農以外にも殆どの女子から好意を寄せられていますが、気付いていません。その一方で男の人からもローズ花園からは本気、その他男子からはアクシデントによって言い寄られたりもしています。
木下 林檎(きのした りんご)
ヒロインの一人で、2年A組栽培専攻。以前は東京で超人気美少女アイドルの草壁ゆか(くさかべ ゆか)として活躍していた。憂鬱な時期に耕作が贈っていた野菜を食べてこの味に感動し、またそれに同封されていたファンレター(実のところは農が書いていた)で田茂農林の存在を知って突然引退。2年生の春に転入し、青田寮で耕作達と生活を共にすることになった。農業については初心者でありましたが、それに付き物の悪臭や害虫を気にしない性格ゆえに慣れていく。
作中の女の人の中で最も美形でありますが、同時に貧乳でもあって、それがコンプレックスになっています。ほとんど感情を表に出さないが、耕作と継で下着談義で盛り上がってみた際には思いっきり呆れ顔になったり、耕作と寮で一緒に生活するうちに彼へ特別な感情を抱くようになります。一方、農とは田植えの際にコスプレで張り合ったりする等、なにかと対抗心を持つが、極めて険悪になったり、逆に百合に近い関係になったりと、関係が一定しません。第7巻時点で耕作が自分に惚れていると知り、第8巻時点では農に対して、勝利者として優越感に満ちた態度を示す。
実際の所かなりのハッカーですので、パソコンを扱わせると、指が四十本あるかのような高速タイピング技能を示し、「まるでなにかの映画のような感じ」とまで言われています。耕作曰く「草壁ゆかにはネット上にもほとんどアンチがいない」でありますが、実のところは林檎は自らの身を守るためハッカーとしての技能を身につけ、自分への悪いコメントを削除していたための模様。また、大食漢でもあるために食べ物には弱く、それをくれる人を過剰評価したり、食べ過ぎて激太りすることもあります。
中沢 農(なかざわ みのり)
ヒロインの一人で、2年A組栽培専攻。耕作と同じ愛生村出身の幼馴染にして同じ青田寮に住んでいて、際立って特徴的な美濃弁を話しています。でっかいお尻の安産型で、作中でも耕作から「デブ」「ベッキーなんかよりも体型が崩れている」と、酷い言われ方をしています。しかし修学旅行で裸身を見た時の耕作は、「単なるデブではない」「エロい」と認識を改めていて、愛生村にて執り行った(芝居ではあったが)結婚式においては、ウェディングドレス姿の農を『美少女』と評してもいる。一時期は食べ過ぎから激太りしてしまい、耕作が半ば冗談でその写真を故郷の農の家族へ送ったことから妊娠と誤解され、騒動となったこともあります。太る要因ともなった料理の腕はかなりのものであって、寮生の食事は全て農が作っています。父親は元農協の組合長で、継や良田の農協批判発言には、複雑な思いを抱いています。
過真鳥 継(かまとり けい)
耕作の親友。2年A組栽培専攻。眼鏡をかけた美少年で、栽培専攻では成績トップで、開校以降最高の秀才と呼ばれていてます。耕作たちと同じく青田寮に住む。農業の専門雑誌を愛読し、学校で習うより上に豊富な知識を持つが、やや机上の知識に偏っている動向があって、それは本人も認める所で、農業技術に関しては耕作が上だと評価しています。事あるごとにその豊富な知識を披露しますが、知識を鼻にかけるような態度ではなく、むしろ他者の知識を認めて受け入れる型で、たとえばTPPの話題については、マネー金上から知識を受けた。その為成績を競う良田とも関係は良好です。動物愛護団体が学校に抗議にやって来た際も、論戦を受けて立つような事はせず、警察を呼んでお引き取り願いました。ただ1回だけ、耕作と論争になった事はあります。
良田 胡蝶(よしだ こちょう)
耕作のクラスメート。2年A組畜産専攻。大地主のお嬢様で、作中の女の人の中で一番の巨乳。畜産専攻で最高成績を誇り、また継と異なり机上の知識なんかよりも実践的な経験豊富。その為、栽培専攻で最高成績の継とライバル関係にあって、事あるごとに衝突する……かと思いきや、継に対して特別な感情がある様子で、しどろもどろになって終わるのがお約束。なお耕作と継が論争になった時は、逆に仲裁する立場になっています。
尊大で不遜な言動をしますが、実際の性格は「真性のM」「いじられキャラ」で、幼稚園児から「牛さんみたい」と玩具にされたことも。また、緊張するとよく舌がもつれてしまう。飼い犬の名前は継を意識した「ケイ」らしいが、本人の前では「単なる偶然」と嘘を言っています。
戸次 菜摘(べっき なつみ)
耕作のクラス・2年A組の担任教諭(担当は家庭科)で、学校のOG。愛称はベッキー。既に40歳過ぎという年に反して容姿は若々しいが、朝礼や職員室で性的な妄想を語りまくる妄想癖の持ち主ゆえに服を開けさせたり女体盛りをやったりする等暴走する欠点を持つため、結婚はおろかまだ彼氏すらいません。ただし、料理の腕は立つ。実際の所県議会議員の娘でもあって、一時期は父親の計らいによって耕作とお見合いまでこぎ付けたものの、彼に拒まれたにもかかわらず暴走して寮へ押し掛けたため、魎子からツッコミを入れられてしまったこともあります。それ以外にも美濃田茂市の新市長の所にテレビ中継の最中におしかける等、トラブルが絶えません。
若旦那(わかだんな)
オーストラリアの姉妹校から友好の証に贈られたワラビーということになっていますが、大人の事情で輸入の手続きやコストの問題で国内生育の中部地方生まれのものを飼育しています。畜産専攻の生徒が世話していますが、耕作に懐いていて、彼からも「ラブリー」と可愛がられています。
のうりんについて思うこと
おそらくこの作品はもやしもんなどの農業系ラブコメに影響を受けて作られた作品の一つだろうと思うのですが、若干ギャグばかりに走る傾向があるため、農業に関してはどうしても情報薄に感じてしまったり、後から取ってつけた感が否めない作品とはなっております。ただ、ライト層が入るのにはこのくらいの内容のほうがとっつきやすいのかなとも思いました。